【 解説・24 】
◇「書目と署名」
書目は記本文(上巻)に添えられているものです。目次として上巻、中巻、下巻に記載される御世の範囲を示します。
○凡そ書き録〔シル〕すところは、天地開闢から初めて小治田の御世で訖〔オ〕わる。
○ここに、天御中主神より以下、日子波限建鵜草葺不合尊より以前を、上卷とする。
○神倭伊波禮毘古天皇より以下、品陀御世より以前を、中卷とする。
○大雀皇帝より以下、小治田大宮より以前を、下卷とする。
○三卷を併録し、
謹〔ツツシ〕んで獻上いたします。臣安萬侶
誠惶誠恐〔セイコウ・セイキョウ〕頓首頓首〔トンシュ・トンシュ〕
[天御中主神]古事記に登場する最初の神の名。空海の神。宇宙神。一般的に「天〔アメ〕ノ・御中主〔ミナカヌシ〕ノ・神」と読まれている。
◇世が未だ一つの空間だった頃、これを司る神をアキツミ・ヌカツキといい、この音に天ツ御〔アキツミ〕中主〔ヌカツキ〕の字を充てました。天地が分離した後、天(空)をアキ、地(海)をアカと呼びます。
◇アキツミの系統が天照大御神、アカツキは須佐之男です。よって、この二神が姉弟(兄弟?)の設定となります。
[日子波限建鵜草葺不合尊]天津日高日子波限建鵜草葺不合尊。父・火遠理命(山佐知)、母・豊玉毘賣。「建・鵜草〔タケ・ウガヤ〕葺不合〔フキアエズ〕」の読み方が常識となっている。◇産屋が出来上がらないうちに、生まれてしまったところから、この名が付いたと云われています。
[神倭伊波禮毘古天皇]神武天皇(初代)。序文の前段・二にある神倭天皇。◇イファレビコとは古和語で武人の意味を持ちます。
[品陀]品陀和気命。応神天皇(十五代)。母は息長帯比賣命(神功皇后)。
[大雀皇帝]大雀命。仁徳天皇(十六代)。履中・反正・允恭、各天皇の父。
[小治田大宮]豊御食炊屋比賣命(推古天皇・三三代)の御世。欽明(二九代)の皇女で敏達(三〇代)の后。敏達と推古は異母兄妹。◇名は「豊〔トヨ〕御食〔ミケ〕炊・屋〔カシキ・ヤ〕比賣〔ヒメ〕」と読むらしい。
[太朝臣安萬侶]◯太/オオ。またオホ。「多」の字も使われる。氏〔ウヂ〕の名。◯朝臣/アソミ。姓〔カバネ〕の名。◯安萬侶/ヤスマロ。またアマロ。身の名。
「古事記・書目」…了。