2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

付記・1

【 解説・22 】《後段・五/ⅰ》(1~5/10) ○漢字を表意文字として使った場合、意味は伝わっても言葉として心に届きにくい。といって日本語の音を優先し、文字を全て仮名書きにしたのでは、徒〔イタズ〕らに文章が長くなるばかりである。 それで今、或るは一つ…

記献上

【 解説・21 】《後段・四/ⅱ》(6~9/9) ○これ、仰せに随〔したが〕い、語臣(阿禮)が繰り述べた噺(旧辞)を奉〔たてまつ〕る。畏〔かしこ〕くも謹〔つつし〕んで御意向のまま、詳細に採り拾いました。 しかし、上古の時、言葉とその意味は押し並べて素…

記編纂

【 解説・20 】 《後段・四/ⅰ》(1〜5/9) ○旧辞に多くの誤りが有ることを惜しみ。また先紀の記述に間違いが混ざっているのを訂正する。ここに、和銅四年九月十八日を以って詔。安萬侶、選りつつ文字化収録。稗田阿禮、語りし。 [於焉]ココニ。「詔」に係…

言祝ぎ

【 解説・19 】 《後段・三》(1~8/8) ○僭越ながら思いますに、皇帝陛下。天位を得て普〔あまね〕く其の徳を広め、王座にあって三〔みつ〕に通じ、民を教え導く。紫宸殿(御所)に居まして徳は陸路の僻地まで被い、皇居に坐してその教化は海路の至る果てま…

稗田阿禮

【 解説・18 】《後段・二》(1~6/6) ○ここに居ります舎人、稗田の姓〔カバネ〕の名(を負う)の者。年は二八、優秀な人である。一度見ればソラで唱〔トナ〕え、一度聞けば忘れることはない。そして勅〔ミコトノリ〕があり、語ノ臣〔カタリ・オミ〕の阿禮(者)に…